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(E.))

⇔ > ささげもの > 泉さま4



泉ちゃん家のホーリー美女(?)結ちゃんが、うちのくそ野郎銀にわざわざお届け物をしに来てくれたっていう小説になります。地味長いので、畳んでおきます。





「あーれれ、人間の嬢チャンが何か用?」
「嘩叉們組が何か、ちゃんと分かってて来た?」

ド派手に傾奇いた着物を纏う、判り易いチンピラが二人。
ヒトの形はしていれど、彼らは神獣・白虎である。
神に成り損ねたとも揶揄される、血気盛んな不良白虎の族が、かの言う嘩叉們組だ。


霞がかった険しい山中でそんな男たちに絡まれているのは、一人の美麗な巫女だった。      
この状況を理解してかせずか、彼女に取り乱す様子はない。
器量通りの可憐な声で、丁寧に答える。


「はい。
貴方たちの頭目に御用があるのですが、どちらにおいででしょう?」 


微塵の危機感も持たぬその娘に、白虎たちが声を上げて笑った。
「気丈だね!それともただの左巻きかァ?」
「そんだけ見てくれが良けりゃあ中身はどうでもいいけどよ」


白虎の一人が娘の肩に手をかけようとした瞬間、その場の空気が突如重く、そして痺れるように張り詰めた。
娘は首を傾げ、目前で固まる白虎の肩越しにその覇気の先を確認する。


四間ほど先の竹林を背に、派手な裏地の純白のマントを羽織った巨躯な男が立っていた。
冷気で流れる白い呼気を、まるで炎でも吐いたかのように錯覚させる威圧感である。


「ヘ…ヘッド…」
「今日ゃす!!!」
チンピラ二人がようやく声を絞り出し、手を膝に付き勢いよく頭を垂れた。
しかし頭目と呼ばれたその白虎は、二人に目もくれず娘を注視する。


「…貴方が…銀様ですか?」
男の鋭い灰色の目にも別段臆することなく、娘が訊ねた。


すると、チンピラたちが弾かれたように、深く伏せていた面を上げる。
「てめえッッ女、何ヘッドに馴れ馴れしい口きいてやがる!!」


「黙っておけ、それはただの人間とは違う」
怒号と共に娘に掴みかかろうとした手は、ヘッドの一声に再び制止された。
チンピラ二人は、当惑した様子で己が頭目を顧みる。


ヘッドは娘を注視したまま、そちらへゆっくりと歩を進めた。
その武骨で大きい足の一歩一歩が重たく落葉を潰す。
「残念だが、俺は嘩叉們組二代目頭の雲珠李(うずり)。貴様の探している銀は…」
「初代の、俺だな」


不意に聞こえた新しい声。
刹那、風もないのに竹林が騒ぎ、枝葉のさざめきが波音のように不吉に轟いた。


雲珠李がぴたりと歩みを止め、背の竹林を振り返る。
「…シロちゃん…」

先刻雲珠李が現れた場所に、いつの間にやらまた別の白虎が立っている。
戦火のように紅い長髪を片側でゆるく編んだその男は、殺気を発さぬ状態でもなお、
先の雲珠李より更に格上であることが窺えた。娘が初めて目を見開く。


「あーあ…来てしまったか」
雲珠李が困ったような表情で目頭を押さえる。
「オイオイ、お言葉だぜウズ。
てめーらが呼んだんだろ、飲み会来いってヨ」
「だから来る前に面倒は俺の方で畳みたかったんだ」


二世代のヘッドが言葉交わすのを前に、下っ端達の膝は震えていた。
「う…嘘だろ、あの方が初代…銀様か」
「…やべえ…」


しかし初代も下っ端二人は眼中にない。金色の双眸を雲珠李から娘へと移した。
「ヘェ、待ち合わせ場所に先回りとは随分熱心な女だな。誰だ、お前?」


「御初に御目にかかります、銀様。
紫苑の異母妹の結と申します。以後、お見知りおきを」
品のある口調でそう名乗り、娘は恭しく一礼する。


それを聞いた銀は軽く首を傾けると、遠慮のない足取りで結に近付き、
お辞儀する結の顎を掴んでぐいと上を向かせた。
そのまましかめっ面を近付け、間近に結を眺める。


「あー、言われりゃ確かにちいと似てるわ。目尻とか唇とか。」
軽く突き放すように結から手を離す銀に、背後から雲珠李が問うた。
「…シロちゃん、紫苑ってなにもんだ」
「馴染みの鬼だ、半化けのな」
混ざりもんの血筋か、と雲珠李が結に感じた違和感を嚥下する。


「しかし嘩叉們組ヘッドたぁ、いつの話してんだか」
銀が嘲笑気味に肩をすくめる。
「それで、その妹サンが何の用だ。嫁入りにでも来たのか?」
雲珠李の軽口に、下っ端二人の体がびくりと震えた。
しかし当の本人は雲珠李の無粋も気に留めず、柔らかい微笑みを浮かべたまま懐から小さな包みを取り出した。


「此方の麓に用事があったので、紫苑に届け物を頼まれました。お逢いできてよかった。」
左手に小包を置き、右手でその結びを解く淑やかな仕草は、不自然なほど白虎たちの目を惹きつけた。
丁字染の布がふわりと解けて、漆の小箱が現れる。
こちらです、と漆箱を差し出す結の指先からなぞるように、銀は結の顔へ再度視線を移した。


(何が…混ざってるんだ、この女のナカに…狐か?)
何か特別だったわけでもないのに、指の動き一つとっても周りを魅了する。
脳を素通りして心を直接手繰り寄せにくるかのようなこのオーラは、一体何の血統からくるものなのか。
好奇心と警戒心を織り交ぜて、銀は無言のまま結の瞳を見据える。
(夜空みてえな目だな)


気まずさに目を逸らすでも苦笑するでもなく、結は合ったままの視線で銀を見つめ返している。
結局、探求に飽きた銀が先に視線を外し、何事もなかったかのように、差し出されたままであった漆の小箱をひょいと掴み上げた。


漆箱を括った捻り紐を尖った爪の先で器用に解き、蓋を開ける。
添え状と箱の中身を交互に見て、銀は愉快そうに口端を上げた。白く鋭い牙がちらりと覗く。


「了解、確かに受け取ったぜ」
それを聞いた結が安堵の色を浮かべ一礼しようとするのを遮るように、銀が再度口を開く。
「俺が受け取った証拠残してやらねえと、鬼のオニーチャンに怒られっちまうかな?」


「え…?いいえ、そんなこと…」
結が伏せかけた顔を上げると、間近で結を見下ろす銀の三白眼が悪戯に、そして凶悪に嗤った。
「一筆くれてえとこだが、筆なんざ持ち合わせてねえし…仕方ねーな?」
結の返答を無視してそう続けると、銀は大股で一歩踏み出して結の背中に腕を回した。
同時に、広い背中をぐっと屈めて結の首筋に唇を落とす。
湿った風に揺られた銀の長い三つ編みが、結の胸元をくすぐった。


「「「あっ」」」
他の白虎たちが揃って間の抜けた声を漏らす。
(本当に真っ赤なのね、紅葉みたい…)
当の結は、頬を撫でる銀の髪を横目に見て、無機質にそう思っていた。


ほんの数秒の後、銀が体を離す。
チクリとした痛みから咬み付かれたと感じた結であったが、その首筋に残っていたのは
銀の髪と揃いの真っ赤なキスマークだった。


「ハハ、よく似合うじゃねーか」
その場で銀一人が愉しそうに笑う。結はきょとんとした顔で、自分からは見えない痕に手を添えた。


「その受領印な、オニーチャンによく見せてやれよ」
もう帰っていいぞ、と踵を返す銀。立ち尽くしていた雲珠李の肩を叩いて合流する。
結を軽く気にする素振りを見せた雲珠李に対して、銀は後ろ手を振るのみで去って行く。


結はその場に佇んだまま、彼らの背中が霧中に消えるまで見送ると、
抱き寄せられた際に取り落とした丁字染の布を拾い上げた。土埃を払って手早く畳む。
「ふふ、さすが紫苑のお友達ね…なんだか面白い人」と一つ呟き美しく微笑むと、
自らの用務地へと向かうべく、ふわり軽やかに踵を返した。




さて、嵐の去った竹藪に残されたのは元のチンピラただ二人。
序盤から早々に言動の機会を失い、憧れのヘッドたちを前に終始放置された二人は、
それでもなお感激と畏敬の念に打ち震え、その後しばらく声を出すこともできず
ただただその場でへたり込むのであった。



 



                              
【あとのいいわけ】

オチを全力で手抜きしたのはご覧のとおりであります←
なお、結ちゃんには天狐の血が混ざっており、存在するだけで周りを魅了しちゃうのです!異母兄の紫苑くんには鬼の血が混ざっており、銀と旧友の設定です!

さて、今回の銀の不貞行為を段階で紐解きますと、
① 添え状から紫苑くんが結ちゃんを大事に想ってることが窺えた
② ならちょっと紫苑をからかってやろう
③ ついでに天狐のフェロモンを直に嗅いでも色香に意識もってかれない俺様の格見せつけておこう(実はちょっと危なかった)
④ あと美女にちょっかいかけれてちょっとラッキー
なのかと!!(結局クズ)

お届け物と添え状の内容をはっきり書かなかったり、「目尻と唇」なんて意味ありげな部分の共通を見つけられるあたりで、ほんのり銀紫も匂わせたきになっている私です。←

小説書くなんて何年ぶりやねん、5-6年ぶりか?というレベルの久しぶりですが、結構楽しくスラスラ書けました。
やっぱりよそさまにネタとかリクとか貰えると違う!^ω^

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自己紹介:
和やバトル系が好きなアナログ描き。可愛い女の子や甘い展開を描くのが超がつくほど下手です。

自分からウェイウェイ絡みに出て行くことはほぼありませんが、おしゃべりするのは大好きです!絡んでもらえると踊り出してゆきます^o^

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